迅速・確実が感染拡大防止のカギ!施設における嘔吐物処理の手順とは
介護施設や保育施設などで嘔吐があった場合、その処理には十分に注意が必要です。ノロウイルスなどの感染症の拡大を防ぐためにも、正しい処理の方法を理解し、実践しましょう。
今回は、嘔吐物処理のポイントや手順、消毒に効果的な次亜塩素酸ナトリウムについて詳しくご紹介します。
施設における嘔吐物処理のポイント
嘔吐物を処理する際には、以下の3つのポイントを意識しながら行いましょう。
作業者が感染しない
まず大切なことは、嘔吐物の処理をする作業者が感染しないということ。ノロウイルスやロタウイルスに感染した人の嘔吐物には、1gの中に100万〜10億個のウイルスが含まれています。
不適切な処理でウイルスが手についたり、残ったりしてしまうと、作業者の口から取り込まれ、感染してしまうのです。作業時にはマスク、手袋、エプロンを使用し、可能であれば処理後にシャワーを浴びるのが望ましいです。
汚染を拡大させない
嘔吐物は、半径2〜3mくらいまで飛び散る可能性があります。肉眼で確認できなくても、周辺の床や壁などにウイルスが付着している場合があるため注意が必要です。
また、気がつかずにウイルスが付着している場所に触れたり、歩いたりしてしまうと、手や靴底にウイルスが付着し、広範囲に運ばれてしまう恐れがあります。
汚染の可能性がある場所はきちんと消毒を行い、拡大を最小限に防ぎましょう。
消毒を確実に行う
ウイルスはとても小さく目に見えないため、消毒や清掃をどの程度行えば感染を防ぐことができるのかわかりにくいものです。しかし、ノロウイルスやロタウイルスなどの感染力はとても強く、わずかなウイルスが口に入るだけでも感染してしまいます。
そのため嘔吐物の処理は、迅速に、そして確実に行うことが重要です。普段から処理のマニュアルを作成し、誰でも同じように適切な対処ができるよう準備しておきましょう。
消毒場所の材質にあった種類・濃度の消毒薬を確認し、共有しておくことも大切です。
正しい嘔吐処理の手順とは
施設内における嘔吐処理の手順について説明します。
事前に準備しておくもの
すぐに対応できるよう、日頃から嘔吐物の処理セットを用意しておくのがおすすめです。必要なものをひとまとめにして、一回分ずつまとめておきましょう。すでにひとつの袋にまとめられている処理キットなども市販されています。
- 使い捨て手袋2組
- 使い捨てマスク
- 使い捨てエプロン
- 靴カバー
- ヘアキャップ
- ペーパータオルや古タオル数枚
- ゴミ袋2枚
- 次亜塩素酸ナトリウム消毒液(ピューラックス、ハイターなど)
処理の手順
まずは、周囲にいる人を離れた場所に移動させ、窓を開けて換気をします。その間、飛散を防ぐため嘔吐物は新聞紙やペーパータオルなどで覆っておきましょう。
準備したペーパタオルや古タオルを使って嘔吐物をすくい取ったら、汚れた場所をペーパータオルで覆い、十分に消毒液をかけます。10〜30分程度そのまま放置した後、水拭きをします。
処理後の注意点
使用したペーパタオルや古タオル、手袋、マスク、エプロン、靴カバー、ヘアキャップは、消毒液の入ったビニール袋に入れて処分しましょう。
ウイルスの飛散を防ぐため、ビニール袋の口はしっかりと閉じるようにしてください。
処理が終わった後は、しっかりと手洗いうがいを行い、念の為その日中は調理や食事の配膳には携わらないようにしましょう。
次亜塩素酸ナトリウムとは
次亜塩素酸ナトリウムというと聞き馴染みがないかもしれませんが、一般的にまな板や布巾などの漂白や消毒に使用される塩素系殺菌剤のひとつです。
殺菌力が強く取り扱いはそれほど難しくありませんが、使用時には手袋を着用する、酸性洗剤と混ぜない、使用できない素材があるなど、いくつか注意しなければならない点があるため、取り扱い説明書を必ずよく読んでから使用しましょう。